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★屋根裏部屋の皇太子★本編『時空を超えて・・』

★第4話。星宿庁

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「屋根裏部屋の皇太子」



★第4話。星宿庁




儒教の一派、性理学が隆盛した李氏朝鮮王朝時代・・
       人々の知るところにない、官庁があった。

その名も・・

   星宿庁(ソンスチョン)。  

(『太陽を抱いた月』をご存じの皆様ならおなじみ(笑)
  バックミュージックも『太陽を抱いた月』のあれ、頭に浮かべてね(笑))

国巫女(クンムニョ)を集め、国巫堂(クンムダン)を置いて、
 国家と王室のために福を祈祷、災難を跳ね除けることを目的とした、
    いわゆる国家の公式巫俗専門機構・・である。

儒学を主とする教えは王や両班の世界には広く浸透してはいたが、
 身分の厳しい李氏朝鮮において、学識を持たず、また必要ともしない民の大半は、
  昔から伝わる風習を重んじ、儒教的概念よりも、昔から信じられてきた巫俗概念の方がなじみ深く、
    国巫女だけでない、巫女による行事や祈祷は、伝統と共に、生活の一部となってもいた。 

だが、そんな巫俗を司る星宿庁が人々の知るところにない理由・・。

それが、儒教的概念を重んじる儒者、両班官僚、そして王族などからは
  理論上、常に、廃止が進言されるべき、蔑まれるべき官庁にありつつも・・
疫病や災いが起きればその治病、祈祷を、
   王には常にその繁栄を祈る祭事など、その実、今の王朝とは切っても切れない関係でもあったからだ。

宮中・・
 世子、イ・ガクでも、全く近寄ったことのない位置に、
    星宿庁の所有する巫女・・
         祈祷をするために用意された、その『建物』その『部屋』は、あった。
~~

じわり・・
  じわりと、足先に汗を感じながら、四人は暗い道を、前に進んだ。

どこにも死角はないはずの宮中でおきながら、
  ひっそりと、誰にも気付かれないように建つこの建物の近くには兵もおらず、
    騒がれることなくここまで辿り着いたことに安堵する暇もなく、四人は言い知れぬ、君の悪さを感じていた。

ヨンスルが剣を構えながら前に立ち、
  その後ろに、辛うじてしがみつかないほどの距離は保ちつつ、中腰になったイ・ガク、
    それに、最後は嫌だとばかりに、イ・ガクの後ろ、競い合うようにした、チサンとマンボが続いた。

~~
幼いころより慣れ親しんできた王宮とはいえ、
  世子の歩く道と言えば、内官、宮女、その他大勢を引き連れ、
    歩くのは毎日決まった、許された道のみ・・。

そのため、確かに王宮の至るところに、
  まだ世子の脚の踏み入れたこともない場所があるのは知ってはいたが、
    王宮内に、このようにみすぼらしい、光のない影となった部屋があるとは、
         さすがに想像もできなかった。
~~
大きな目をくるりと見開き、ごくりとつい、
  息を飲む音にも神経を張り巡らせ、回りの様子を伺うイ・ガク。

「・・・・・。」

その離れの建物へと近づくたびに感じる・・
   物々しい空気はなんなのであろうか・・

みすぼらしい中にも、扉のある部屋が見えてくると、
 身を寄せ合いながら           (ほんとに仲いいな(笑))
  互いに目と目で、うなずき合う四人。
~~
『過去』としてあったこの時代から、
  『未来』という、何百年(厳密には300年)もの年月を経た時代へと
『タイムトリップ』したことですら、
   誰に話したとしても、信じようもない話であるのに・・

その上、
 今度は、

『現在』としてあるこの時代から、
  『過去』として過ぎてしまった時代へと、『タイムトリップ』する方法を模索しているというなどと・・。

世子嬪となるべき運命にありながらも、
  イ・ガクを助けるために命を投げ出した、一人の女性を助けるために・・。

このような非現実染みたことが世子の口から出たと
 万が一にも、今の権力に不満を持った反対党派に知り渡れば一大事・・

これ幸いとばかりに、またも、世子交代を要求した直訴がなされ、
  今や弱ってしまった父王を逆手に、反逆がなされないとも限らない・・。

~~
~~
すべてを覚悟の上で、
   イ・ガクが頭をうなずかせると・・・          (第3話 最後続きシーン)
 その目に、深く、頭を下げたソン・マンボが答えた・・。

「実は・・ごくわずかな者しかその存在を知らないという・・
    秘密に包まれつつも、歴代続いてきている極秘機関がございます・・」

マンボの言葉に、
  意外そうに、目をくるりとさせたイ・ガクが聞いた。

「それはこの・・王宮内にか?」
マンボとイ・ガクを交互に見たト・チサンと、ウ・ヨンスル。

わけがわからなさそうにただ見比べるウ・ヨンスルと違い、
その一言だけで、
  朝鮮広しといえど、男女共に精通し、都の情報だけでなく、
    王宮内の知識にも富んだ、ト・チサン内官が、
「ひ・・・」
思わず声をあげ、慌てて口を塞いだ。

「それって・・・」

塞いだ口から声をだし、
 恐怖に目を開きつつ、マンボの顔を見たチサン。

マンボがそんなチサンへと目をやると、
・・・こくん。
真剣に頷き、
 小さく背を丸め、輪になった状態を、さらに密にさせよとばかり集めた。


ご・・くん・・・。
ただならぬ二人の様子に、喉を鳴らして、二人の顔を見たイ・ガク。

「どこなのだ?そこは・・
   そこが、今回過去へ行く方法を知っているというのか??」

世子の言葉に・・

「おそらく。」
マンボが丁寧に、頭を下げた。

「どこなのだ?そこは・・
  この王宮内であれば私の耳に入らぬ場所などあろうか・・」
イ・ガクがそう言い終わらないうちに、
 マンボは、顔を上げながら、答えた。

「存在を隠され、儒者や官僚からの糾弾を免れている官庁・・
  星宿庁にございます・・。」
マンボの言葉は、
  世子という立場であるイ・ガクにも、聞きなれない言葉であった・・。
「星宿庁・・」
イ・ガクが呟いた。

~~
~~
誰が先にその部屋に入っていくのか・・・
  互いにその背を突きながら、顔で指図し合い、
    ひそひそと言い合う三人を尻目に、

腕を後ろに組みながら、呆れたようにそんな三人を横目で見ていたイ・ガク。

一向に進んでいかないじれったさに耐えかねて、

「ごっほん!!!」
咳払いしてみせた。  (一番に行かない癖に、急かす奴(笑))

結果・・
俯いた二人とは違い、世子と目の合った一人・・
 小さな目をきょろりとさせたト内官(チサン)が、イ・ガクの視線の使命を受けた。

自身を指さし、
 固まった笑みでヨンスルとマンボに尋ねるような目を向けたが・・

二人ともが、
   (チサンが最初に行くと決まった)今や、イ・ガク同様に胸を張り、大きく首を縦にするのを見ると・・  
(世子付きの内官だから、基本、彼が最初。)

恐る恐る、
「ごめん・・ください・・」
囁くような声で、全く音のない部屋の奥に向かって呟いた。

「ごめんくだ・・さ~~~い・・・」
しんとする中、
  あと一歩、マンボにその背を押されるようにして、少しだけ足を踏み入れたチサンが・・
   恐る恐る、周りを見渡しつつもう一度叫ぶと・・

三人はその暗闇のある部屋へと入り・・
 ようやく、腕を後ろに組んでその様子を見ていた世子もまた・・
   その部屋の中へと脚を踏み入れた・・・。

その瞬間・・
「・・・来られましたか・・・。」

静かさを切るように、
 喉深くに刺さるようなぴりっとした女の声が
       イ・ガクたちの耳に届いた・・。

ぎ・・くり・・
その声に、踏み入れた脚を止めたイ・ガク。

だが・・イ・ガクが声の主へと目をやる前に、
「ずっと前からこうなることは知っていました・・。

   お入り下さい。」
まるで、脚を止めたイ・ガクたちの躊躇を見透かしているかのように、
  その声は部屋の中へと四人を促した。

イ・ガクたちの目にはまだ、誰の影も映っていない。

それがまるで、『未来』で見た監視カメラのようなもので一部始終見られているかのように感じられ、
 四人は、辺りをきょろきょろしながらその声に背を押されるように
    中へ中へと暗闇の中、足を踏み入れた。

四人の目が一点で止まり、脚も止まった。
その先に、真っ白の服を着た、宮女とも違った風の若い女が現れた。
 
その巫女は、ちらりと顔を俯け四人には目を合わせることのないよう礼をすると、
        先にある、木でできた扉を・・開けた・・。
 (身分下の者は王とは目を合わせられません)

ギ・・
ごくりと唾を飲み込んだ四人の目の前に現れた・・

   一人の女・・・

どこかで見たことのあるような面立ちに、
   イ・ガクが怪訝にその目を細めたが・・

 どこで見たのかが、思い出せない。

質素な装いに身を包み・・
 目を閉じて、部屋の中央に位置する場所に置かれただけの座卓を前に礼儀を保つ座り方で
   顔を伏せ、イ・ガクたちを迎え入れたその巫女。

座っているだけで感じる威圧感、空気の凍ったような静けさ・・
 その巫女こそが、
    先ほどの声の主だと、一目でわかった。

俯いた様子のその巫女がゆっくりと顔を上げる・・。

質素な中にもどこか、上品な面立ちをしているその姿が・・
   誰かを思い出させる・・・・

じっと見つめた四人の前、
   ようやく、巫女はすっとその目を開き、顔を向けた。

「・・・!!!」
途端にイ・ガクの目が、驚きの目に変わった。

<チャン会長!!??>           (現世で、ホン・セナとパク・ハの実の母だった人)
髪は後ろにきっちりと束ね、
  緋色に光る石のついたもので止めている。

未来で確かに出会った・・あの、びしっとスーツを着こなした装いはないけれど、
 イ・ガクを前に、
   通例通り王を前にクンジョル(最敬礼)を行うと、
      また、片膝を曲げてそっと座り直した。

そうする間まだ、信じられないとばかりに、
          その顔だけを、凝視していたイ・ガク。

その視線に気づいた巫女がイ・ガクへと目を伏せつつ顔を上げると
「何か・・私めの顔がお気に障られましたか?邸下・・」
静かに問う口調でそう聞いた巫女・・。

「い・・いや・・
   そなたは一体・・。」

イ・ガクが問うと・・

「失礼いたします。
 卑しくも私めがお答えさせていただくことをお許しください。
  星宿庁に属する国巫(クンム)、ユン氏にございます。

   邸下・・。」
目の前にいる巫女の代わりに答えたのは、先ほどこの扉を開けた巫女。
後ろからまた扉の中へと入ってくると、丁寧に頭を下げたまま、
   そのユン氏へと、きれいに布で封された筒を渡した。

ユン氏が、その筒の中から、一枚の丸め、畳まれた紙を出した。
幾重にも折られた状態で、
   厳重に包みに入れられたその紙・・。

それを見ると、イ・ガクの顔はさらに疑うように歪んだ。

広げられた紙に見えている紅い王の印・・
あれは・・
  今は亡き、大王大妃(先々代王の后)の印で、封をされていた。

ユン氏がそれに何か、呪いのような言葉を呟くと
  瞬時に、イ・ガクを中心に守るように身構えた四人・・。

世子を庇う様に3人が前へと出ると、
  ふっと顔を上げたその、若い娘巫女へと、マンボが目をやった。

「・・・レディ・ミミ・・」

姿は真っ黒な髪に、
  白い素服の巫女だった。

未来で出会った、一風変わったミミとはかけ離れた様子のその娘巫女・・。
 
マンボの口が、ぽかんと開いた。

そんなマンボの呟きに他の二人が目を向ける。
確かに、姿は違えど・・顔は、どこか見たことのある・・
あの目、
  鼻・・
   それに、口元があった。

現代のミミは、その世子以外の向けた視線が煩わしいのか、
  つんと目を逸らすと、あくまで座っている巫女へと忠義な姿勢を崩さない。

世子だけは、そんな三人には目を向けることもなく、
 自身を守るように背を向けた三人の背の隙間から
   じっと目の先のチャン会長・・ではなく、ユン氏を見ていた。

何か呪文を吐いたせいなのか
  気のせいか・・

イ・ガクの目にはユン氏の持つ自然にその封が、解かれたように見え、
   開いた紙を、そっと、机の上に差し出したユン氏。

「今日・・ここに来られたのは
   世子嬪様となられるはずだった・・いえ、実際には・・
        義妹君となられた・・のことでありましょう。」

落ち着いたその巫女の言葉には、
  ミミそっくりの娘に目を奪われていた三人も、
    ようやく驚いて、目をユン氏へと向けた。

「世子嬪様となられるはずだった?

 ・・どうして・・
 
 先の邸下の下された裁き(過去事件に関わった罪人への)を見知ってのことか・・
 それとも・・
   知っていた・・という意味か?
    あの事件に纏わるすべてを??」

マンボが、一歩前に出るとユン氏へと鋭い目をやったまま聞いた。
すると、マンボのその胸を押さえた世子。

イ・ガクもまた言葉は、丁寧なまま
「どこまで知っている?
   何を・・言おうとしているのだ?
 教えてくれ・・」
目を一瞬もその巫女か離すことなく、聞いた。

自身の知る未来では、
  プヨンの転生したパク・ハの産みの母となっていた、チャン会長・・。

この巫女が、その人物そっくりだというのは、
  何か関係することなのか・・。

その世子の言葉に
「すべてを・・・。」
ゆっくりと口を開いたユン氏。

「かつて・・
  まだ、幼ない邸下の世子嬪揀擇を行った際・・
    
 数ある単子のうち、
   お一人の処女単子が、私の元へと持たれました。
 
 もちろん権力あるお家のお嬢様でしたが、
  私たちには関係ありません。

 言われるままにその四柱(生まれた年月日時)より、邸下の合と合わせたところ、
  またとない配数によって結ばれた強い縁が見え・・
   
 最初に、今回の世子嬪様を選んだのが、わたくしたちでございました・・。」

(処女単子とは、世子(独身の両班もですが)の嫁を決める際、
  相性を見るため、四柱を組み合わせて見たり選ぶために、
   今でいう身辺調査?に近いものを提出させる決まりがありました)


その落ち着いた言葉に・・
「世子嬪様・・

 今のが、本来・・なるべく運命だった方・・つまり、世子嬪妹君だった方のことだな?」
チサンが目を細めて聞いた。

「いいえ・・。」
だが、予想に反したその答えに、顔を顰めた四人・・・。

「ですが、その方を世子嬪へと推した数日後・・・
(世子に嫁ぐ世子嬪は、 
    王妃、大王大妃など、女系がすでにその家系の家から選んでいたことが多かった。)
 もう一方、拝見することになりました。

 その時の驚きは、今でも覚えております。
 
 非常に稀なことではございますが・・・

 数奇な運命を持った方ともありましたが、
  邸下との合も非常に相性がよく、邸下の気運を上げる方。
   さらに・・その方には仁徳まで兼ね備えられてあるとありました。」

ご・・くん・・。

四人の喉が、一斉に、動いた・・。

「強い欲を持つ星の傍に生まれる
  悲運の星を持ってはいましたが、
 この娘をと願われたこともあり、
  私たちは祈祷を行ったうえで、
    私たちもまた、この娘子を後日、改めて世子嬪に推したのです。

 ですが・・数日間の祈祷の後・・
   すべてを終えた私達の元に再び戻されたのは、
    先の強い縁を持ち合わせたファヨン様の処女単子で・・

 その後に・・・」
~~
ー嘉礼(カレ)当日・・

美しく着飾った、強い縁を持った運命の、娘の姿・・。
  その隣に並ぶ、嬉しそうな顔で微笑む、世子の姿・・。

祈祷する正装に身を包んだユン氏が
      ふと、気配に顔を上げると・・。
~~
「幼き邸下の横・・
  美しく、また運の星を自身の欲のままに取り入れられた世子嬪様が歩かれる姿を見つめる・・

   悲運の星のまま・・口を閉ざされてしまわれた・・
      美しさも真実も・・

 その布の下に隠しこまれた妹君様の姿がございました。」
ユン氏の言葉に、
  イ・ガクの表情が、さらに歪んだ。
   
「恐ろしきは運命の星にございました。

 邸下と寄り添う合となる運命の娘子たちが、 
     一つの屋敷に生を受けたのです・・。

 切っても切れぬ血縁の・・
    実の姉妹・・として・・。」

その言葉には、
  思わず声を荒げなければならなかった世子。

「ならばなぜ!!!
 
 なぜ!!!!
   その場で申さなかったのだ!??

 この結婚は無効であると!!!
   そなたたちの最後に下した判断は、
       その妹である娘子の方であると!!!」
荒げた声の世子にも、肩を震わせることもなくただ目を伏せたまま、
    頭を下げたユン氏。

「その娘子のされたのと同じように、
  天の示される御意のまま・・
    私たちも口を閉ざしました。

 いえ、元より今の朝鮮において・・
   星宿庁に口というものはありませんでした。

 また、王家親族その全ての四柱を司る星宿庁には、
   脚もなければ耳もありません。
  たとえ、私に口があったとて、なすすべはなかったのでございます。」

ユン氏の言葉は、
    本当だった。
世子であるイ・ガクですら、
 星宿庁がまだ今なお、
   この朝鮮に存在するとは、知らされてはいなかった。

昔から、儒者と、巫俗信仰は相反するもので、
   儒者は頑なにこの星宿庁を廃止にすべく王と争ってきたと聞く・・。

季節、先祖を祀る祈祷や、
  その他の行事にその信仰に沿った巫女としての跡は見られたとしても、
   こうして官庁として宮中にまだいたとは、
         イ・ガクも、知らなかったのだ・・。

争いを極めて好まなかった父王のこと・・
    恐らく隠し通すつもりだったのか・・

いや・・
  もっと前より、その存在は政治を扱う一番上の者以外には、隠されてきたのかもしれない。

ふと・・気づいたイ・ガクが・・
   口を開いた・・。

「大王大妃様の封がなされていたが・・・」

その言葉を待っていたように・・
   さらに低く頭を下げたユン氏が・・言った。

「邸下の結婚という名の契約が結ばれた日に・・
   ずっと床に臥せっておりでだった大王大妃様が・・・

  私めをお呼びになりました。」
~~

「どう・・だった?
   お前たちの祈祷は通じたのか?」

 その屏風越しの声に・・
   頭を地に伏せたユン氏が・・ぎゅっと目を閉じた・・。

「恐れながら・・
   叶いませんでした・・。」
ユン氏の言葉に・・
  ユン氏から手渡された紙を・・きつく印で封じると・・
     筒へと入れて返した大王大妃・・・

「では今からこれが天の定めた命であり・・

   彼女が世子嬪に選ばれた娘だ。

 最初にそなたの選んだのもこの娘・・。
 
 四柱では邸下と合う合となっているはずだな?
  ならば次は邸下とともに一刻も早く世嗣(世継ぎ)元子の懐妊祈祷をいたしておれ。」

一言それだけ言うなり・・
   ユン氏を下がらせた。

どんっ!!
  部屋に残った大王大妃は、
     白い手を握ると、煌びやかに貝柄など艶のある机上を思い切り、叩いた。
~~
大王大妃殿を出たユン氏もまた・・
   手の内に秘めた筒を包んだ手を・・ぎゅっと握りしめた・・。

廃位され、毒によって処刑された世子の母を王にあてがったのは、大王大妃であった。
亡くなった母を思う幼い世子が、
   臣下と弱まる王の狭間で苦しむことが不憫で、最良の娘をと選擇させたのに・・。

<なぜ・・よりにもよって縁を結ぶ娘が二人とも・・
        あの家の娘だったのか・・。

 なぜ・・
  人徳ある娘の方を、運命は世子嬪として許さなかったのか・・。

 数奇な運命、数奇な出会いに翻弄された母を持つ世子だからこそ、
    苦しみを受ける娘を選んでやりたかったのに・・。>

大王大妃が、
   固く口を結んだ。  
~~
「大王大妃のお心が
   誰よりも邸下を想われるが故に、
     今回の沈黙を命ぜられたのです。

 一度決められた世子嬪が、覆されて
    同じ家から、もう一人となる・・。

 そんなことが公になれば、この星宿庁だけでなく、
   王家の権威すらも脅かす反対勢力の火種となりましょう。

 ましてや相手は勢力を増していた左議政家の娘子たち・・

 言うなれば、万が一にも四柱が違えど、理屈をこねてねじ伏せることのできた人物でしょう・・。
 
 どうにもならなかったのです・・。」

ユン氏の話を聞き終えたイ・ガクが・・
   今更ながらに・・その場に座り込んだ・・。

大王大妃・・
 世子であってもなかなか会うことも叶わなかったその姿

巫女の言葉とは反して、
  一度だって優しい目を向けてもらったことのないその姿は・・
     イ・ガクですら、もう思い出すことはできなかった。

だが・・
 弱まったとはいえ、とてつもなく強い力を持った大王大妃でも
     黙るしかなかった左議政の権力・・

政治と・・何の因果か、
   そのもとに生まれた、王世子と縁を結ぶ四柱を持った姉妹・・。

姉の強欲と・・
  様々なことに潰されてしまった自身の縁にも関わらず・・
『お慕いしていました・・』
手紙の通り・・
  その想いを胸に秘め、イ・ガク自身をただ、見つめてきてくれたプヨン・・。

~~

欲も出さず・・

  何も言わず・・

もし、プヨンがその世子嬪揀擇通り、世子嬪になっていたとしたら・・
 その運命は、どう変わったのだろう・・。

イ・ガクの脳裏に、
  パク・ハと同じ・・澄んだ瞳が思い浮かび、
     慎ましげに、いつも数歩後をついて歩いていた、プヨンの姿を思い出した。

何も知らずに自身の姉と微笑み合う、夫となるべき自身を映すとき・・
    何を考えていたのだろう・・
     どのように胸を痛めたことだろう・・

鮮やかな刺繍の手巾に隠された口元からは・・
  

もし・・世子嬪として隣にいたとしたら・・
  日々、共に過ごしつつ・・
    どのような言葉が出てきたのだろう・・

豪快に笑ったパク・ハの姿が見えた。
 偉そうに振る舞い、
  遠慮なく怒る、パク・ハが見え、
それから、
  イ・ガクが消えるのを恐れて、イ・ガクにしがみついたパク・ハが見えた。

それから・・
  目に涙をあふれても止まらない程ため・・
     二人だけで、結婚式を挙げた、その日のパク・ハが見えた・・。


パク・ハのように笑い・・
   彼女のように、怒っていたのだろうか・・?

それとも・・
  
あまりにこの世でのプヨンが何も言えないまま去ってしまったため・・
    パク・ハが代わりにその全てを教えてくれたというのだろうか・・?

パク・ハを想うと、
     胸が痛んだ。

それと同じくらい・・
   世子嬪揀擇で選ばれていたことすら隠し・・
 すべての沈黙を守りつつ・・
   イ・ガク自身の命を守り、身を投げたプヨンを想うと・・
   
 その胸は、潰れそうに締め付けられた・・。

『300年経っても・・』

いっそ、死んで会えるくらいなら、
   死んでしまいたいほど、会いたかった・・。

そこまで、心の中で一人、呟いて、
  はっと気づいた・・。


<どちらに・・?>

~~
座り込んだイ・ガクが頭を垂れたまま何も言わないことに・・
  おろおろと立ちすくみ、顔を見合わせた三人・・。

その目の先に、
   あの、紙を広げたユン氏・・。
~~
イ・ガクが目を上げると・・
  イ・ガクを黙って見つめたユン氏・・。

その目に・・
  ・・パク・ハを囲み、
     ともに笑い、ともにパク・ハをからかった風景が蘇る・・  (未来のパク・ハ実母ですから)

「あなたは・・
 
 すべて、ご存じなら・・

 私たちがここに来ることさえ、ご存じだったのならば、
  ご自身の『未来』については・・」

イ・ガクの言葉に・・
「未来?」
予想もしなかった質問だったのであろう、
    目を少し開いて聞き返したユン氏・・。

「『輪廻転生』」
ヨンスルが、ぼそっと言うと・・
   ヨンスルの顔を見た後に、首をひねるようにして、ユン氏はイ・ガクを見た。

その目をさっと伏せると・・
    首を振って、独り言のように言った。

「自身の・・未来・・。

 また世に生を受けるとき、知るのでしょう。

 どのような形、どのような人物になったとしても・・
   私は私であるように・・。

 どのような縁、どのような運命の元に生まれていたとしても・・

 例え今の私は忘れ、今の私の姿ではなかったとしても・・
     何かの縁に導かれ、そこに生を受け、存在することになるのでしょうから・・。」

ユン氏の言葉に・・
   イ・ガクも・・
 それに、チサンも、マンボも・・ヨンスルも・・黙った・・。

沈黙が訪れたところで、イ・ガクが再び口を開いた。

「ごほっ!
 ところで・・
   では、それはなんなのですか?

 未来を知ることはないというのであれば、
    今日、ここに来ることが・・なぜわかっていたのですか・・?」
イ・ガクが紙が開かれたのを目にやると、
       もう一度、ユン氏に尋ねた・・。

「歪められた運命が・・
   何かに引き寄せられるように、強い力を発しているようです。

 月が、もう三月(三か月)も満ちた姿を見せないのも、
       そのせいでしょう・・。」

その、紙には・・
   昔、ユン氏が見たままに、プヨンの四柱が正確に書かれていた・・。

それから・・

ユン氏は、すっと新たに紙を取り出すと、
   新しい年月日・・時刻を、流れるように書き込んだ。

~~
イ・ガクは、静かに手を後ろに組むと・・
    ゆっくりとその脚を進め、あの、芙蓉池の辺に立った・・。

そう・・

  ちょうどあの日・・  (自ら身を投げた日)

プヨンの立った・・その位置に・・・。

背を伸ばし、
 空気を味わうかのように、鼻で吸い込むと・・
     何かを待っているかのように、目を閉じたまま、その場に立つ・・。

その後ろ・・

「ひ~~~~~!!!!!!」

  「邸下~~~~~~!!!!!お止まりを・・」

「や・・やはりこれは赦されるべきものではありません!!!!
   国の存亡にすら関わることです~~~!!!」
離れた場所に立つ三人が、口々に・・叫んだ。

にも構わず、
  ただ静かに目を閉じると、真っ暗な雲に覆われた空から
     ゆっくりと月の弧が見えるのを光で感じていた世子・・。

「「「ひ~~~!!!!!」」」
三人の叫び声が終わらないうち・・
    月を覆い隠していた雲から、月のすべてが現れたかと思うと・・・

今度は、
   ゆっくりと月の丸さと同じ丸い影が・・その月を覆い隠した・・・。
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

え??
・・どうなったって??

過去と未来、どっちが中心なの!?ってね★

ただ、のあの妄想なのでひとつ・・固いことはいいっこなしで^^;
ゆ~るりと・・楽しんでいただけたら・・(笑)

(固いことはいいっこなしって、むしろまだラブがない!!固すぎる・・てね・・・ひ・・
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~ Comment ~

そうですよね。

のあさん、こんばんは。
そうですよね、未来と過去とどちらに?
300年後のパク・ハ?過去のプヨン?
星宿庁...太陽を抱く月を思い出しました。チャン会長とミミが出てくるなんて!チャン会長とミミの事も未来に行かなければ知らなかったですものね。
お話の続き楽しみにしています。
このお話、日本でドラマ放送されるまで読ませてもらうの待ってたんです。
(大分前に放送終わりましたが)だからお話読めて嬉しいです。
ありがとうございました。




>うめちゃんさん

未来と過去とどちらに?
300年後のパク・ハ?過去のプヨン?

このオクタッパンを見終えた後、しばらく妄想の世界から抜け出せない程、こちらの妄想にはまりました。

というのは、のあにとっては、どうしてもプヨンが可哀想で、悲しくてならなかったからです・・。

300年たった未来での、パク・ハとの出会いも、テヨンという人物の出会いも・・。

すっごくす~~~っごくはまってみていた後の、空虚感は、半端なかったんです(笑)

星宿庁...太陽を抱く月ビンゴーです(笑)
実際には謎に包まれており、過去の文献でも、4,5か所からしかその存在は把握されていなかったとか。
太陽を抱く月は、完全な架空ですが、それを見事に表現、なんの違和感もなくて、とても感動しました。

チャン会長とミミ(笑)そうですね(笑)

このお話自体が、転生というものに、とても特別なことがあったので、
こちらの妄想劇でも、「転生」はとても重要なポイントだと思ってます★

お話の続き、楽しみにしてくださったら嬉しいです♪

こちらこそ、ありがとうございます♪

注意となりますが、このお話に関しては、きっと、それぞれの理想があると思うんです。
なので、のあの妄想と合う方も、そうでない方も、いらっしゃると思います。

楽しんでいただける方のみ、続けて読んでいただけたら嬉しいと思ってます♪
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